2015年01月07日

郵便局の人ってすごい

うろ覚えの内容でおそれいります。少し前に、東京新聞に掲載されていた宮子(みやこ)あずささんのコラムに、「郵便局の人は、表札をかかげていない家でも、集合住宅の部屋番号も名前も書いていない郵便受けでも、きちんと手紙を届けてくれる」ということが書いてありました。

宮子さんの本職は、看護師です。専門職の立場から世の中を見つめたコラムを東京新聞で書かれています。今は、訪問看護をしておられるので、各家庭を訪問する機会が多いそうで、その訪問先で、先ほど書いたような郵便局の人のすごわざに出合われたそうです。

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郵便局の人のすごわざというと、わたしも以前に話を聞いたことがあります。

かつて介護施設で働いていた人が、利用者の方から「あなたには、とてもお世話になっているので、年賀状を出したい。ぜひ自宅の住所を教えて」とたのまれました。

ふつうは、利用者には職員の個人情報を教えないことになっているそうですが、とても熱心にたのまれるので、教えてあげたそうです。

すると、お正月に、その利用者の方からその人の自宅に年賀状が届きました。しかし、その宛名と住所は、震える手で字が書いてあるため、一文字も読めなかったそうです。「宛先が一文字も読めないのに、届ける郵便局の人ってすごい」とその方はおっしゃっていました。

わたしも、その話を聞いたときは、びっくりしました。一つ一つの線の方向から、住所や名前の手がかりでも見つけて届けるのでしょうか。ともかく、届けることに対する強い熱意を感じる話です。

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わたしは郵便局がすきです。どこの郵便局にも「ローカル」な感じがただよっているからです。昨年の年末に郵便局に行くと、おじいさんがいすに座って、郵便局そなえつけのスタンプを、ぺたーん、ぺたーんと押して、年賀状を作っているところを目撃しました。年末になると、郵便局には、賀状用のスタンプが登場するのです。こういう光景を見ると、なんだかほっとします。

個人情報に敏感な世の中になっても、郵便局の人は、どこに誰が住んでいるのかをみんな頭に入れて、しずかにしずかに手紙を配っているのです。

それは、日本のおだやかな、よい光景だとわたしは思います。

今日は、これでおしまい。



posted by ふう at 18:16| Comment(2) | おはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月27日

エネルギーリーディングしてもらったおはなし

首都高のわきにあるのに、音が吸い込まれたように静寂を感じるビーガン・レストランがありました。
ビーガンとは、ベジタリアンよりもさらに厳格な菜食主義者をいいます。魚や動物の肉はもちろん、乳製品や卵すら口にしない彼らの身体には、きっときれいなさらさらした血液が水のように流れているにちがいありません。

さて、そのお店の前にある立て看板の「本日エネルギーリーディング行っています」という文字が、歩いているわたしの目に飛び込んできました。わたしがその文字に吸い寄せられるようにお店に入りますと、清潔そうなモノトーンの服を着た女性が席に案内してくれました。
店員の女性は、わたしにメニューを手渡しながら、
「今日は、エネルギーリーディングの先生がいらっしゃっているんですよ。食事の前にいかがですか?」
と、たずねてきました。
「エネルギーリーディングとは、どんなものですか? 占いのようなもの?」
「占いとはちがいます。先生は、その人のつけているアクセサリーや服や手のひらに触れると、その人のことがわかる方なんです」

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言っていることがさっぱりわかりません。が、興味をそそられて、わたしはそのエネルギーリーディングを受けてみることにしました。
先生は、わたしよりは少し年上の細身の女性でした。わたしはアクセサリーをひとつもつけていませんでしたので、先生から手のひらに触れられてリーディングを受けました。先生が読み取ったわたしに関する内容は、ぴたっときたり、ぴんとこなかったりしましたが、
「あなたは、ホームレスの人を見るとかわいそうだと思っていて、もし自分に財力があったりしたら何かしてあげたいと思ってますね。そして、それをすると自分の生活が壊れてしまいそうで、こわいとも思っていますね」
とおっしゃいました。
それは、ほんとうにぴたっと当たっていました。わたしは、彼らがお風呂に入れればいいのにな、と常々思っているのです。だって、お風呂に入れたら、においもなくなるし、もっと彼らはいろんなところで受け入れられるんじゃないかと思うのです。それに、こんな湿気の多い国に暮らしているんだし、日本人はお風呂が大好きなんだから、彼らだってお風呂に入りたいはずです。かといって、自分の家のお風呂を開放するのはこわいのです。でも、たとえば、公園に無料で使えるシャワーでもつくれたら? そうしたらどんどんホームレスの人が集まってきてしまって、それはそれでまわりに迷惑をかけたりするのかなあ、という妄想をたびたびしていたのです。

わたしは、その言葉ですっかり先生の能力を信じてしまいました。
そして、ちょっとおそろしくなったのです。わたしが秘密にしておきたいことも、この先生には、全部伝わってしまうのではないかと。
すると、
「あ、だいじょうぶ。何を読んでいいか、というのは、わたしとあなたの守護霊が話し合って決めるから。読んではいけないものは、読めないから」
と、先生はおっしゃいました。
(ほんとうに、なんでもわかってしまうんだな。しかも、瞬時に大量の情報が伝わるみたい)
と、わたしは思いました。ということは、神様の前に座っているのと同じです。わたしは、自分の隠しておきたいことなんてどうでもいいやという気持ちになりました。大きな能力を前にすると、こざかしい知恵など何の役にも立たないのです。

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先生は、わたしのこれからのこととして、
「あなたは、もっと歩くといいよ。ひとりで歩くといい。あなたは、歩ける人だから。それに、あなたが歩くと歩いた道がよろこぶのよ」
と、おっしゃいました。わたしはちょうど前日に、もっと歩きやすい「くつ」が欲しいと思って、2足ほど新しいくつを買い求めたところだったので、そのことは口に出しませんでしたが、
(なるほど!)
と、みょうにこころの中で納得したのでした。
以来、わたしは朝、ひとりでてくてく散歩をしています。

もしあなたのこころに、脈絡もなく何かがふと浮かんだら、それは、あなたがやるべきことにあなたを導いてくれる、大切なものかもしれませんよ。

今日は、これでおしまい。
posted by ふう at 07:00| Comment(4) | おはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月24日

古本屋のおはなし

家から電車で数駅行った街に、一軒の古本屋さんがあります。
店の一角には特設コーナーがあり、そこには時節に合った本や絵本が並べられています。
その古本屋に初めて行ったときに驚いたのは、「これは…わたしが欲しかった本じゃはないか!」という本が何冊も並べられていることでした。ずっと疑問に思っていたこと、ずっと知りたいと思っていたこと、そうこうことが書いてある本が、その古本屋にはずらりと並べてあったのです。

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新刊を並べてある本屋は、なんといったらいいのでしょう。今、話題になっていることや、人が興味を引きそうな本を並べてあります。しかし、この古本屋さんには、人が興味を引きそうなものというよりは、人が疑問に思っていることの答えになるような本が並べてあるのです。
人の疑問の答えになるような本というのは、どうやって集めるのでしょう。ふしぎです。でも、それが本のひとつの大きな役割でしょう。
だから、わたしはこの古本屋へ行くと、必ずたくさん本を買ってしまいます。

レジに行きますと、年配の女性か、男性か、あるいは若い男性が会計をしてくれます。
おそらく、おかあさん、おとうさん、息子の3人と思われます。
おかあさんがレジをしているときは、「ポイントカードお持ちですか」ときまってたずねられます。わたしが持ってなくて、でもいりませんというと、とっても驚いたふうな「ポイントカードがいらないですって」という顔をされます。きっと、ポイントカードをつくったのは、このおかあさんだと思います。

おとうさんは、といいますと、わたしが本をレジに持っていっても、自分の仕事にいっしょうけんめいで、なかなか気づいてくれません。わたしはおとうさんの仕事がひと段落するまで待っています。ここは、せかせかして買い物する古本屋でもないのです。おとうさんは、はっとわたしに気づくと、おや待たせてしまって、という感じでレジを打ってくれます。

さてさて息子は、といいますと、いつもレジの席に座って本を読んでいます。本が好きな古本屋さんなんて、子どもがお菓子の家に住んでいるのと一緒です。さぞかし楽しんで読書生活を送っていることでしょう。息子は、わたしが本を出しますと、「ポイントカードお持ちですか」とたずねてきますが、わたしが「持ってませんけど、いりません」と言うと、そうでしょうという感じでうなずいて、レジを打ってくれます。きっと、息子はポイントカードにそう肩入れはしていないのです。

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いったいこの3人うちの誰がこの人々の答えとなるような品揃えの本を集めているのかは分かりません。でも、そのうちの誰か1人がそういった本を集めるこつを知っていて、ほかの2人に教え、結局3人の力によってこんな本屋ができあがっているのかもしれません。
ポイントカードだって、きっとこの店にはなくてはならないしくみなのでしょう。
こんな店ですから、わたしはあの街に行くと、自分の答えを求めて、またあの古本屋に寄ってしまうのです。

今日は、これでおしまい。
posted by ふう at 07:00| Comment(2) | おはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする