2013年12月17日

ステンレスの話

今日は、金属の話です。主婦という立場で台所に立っておりますと、一番お世話になっている金属というのは、お鍋じゃないかと思います。
鉄、銅、ステンレス、ホーローと種類も加工もさまざまあり、目的に合わせてお鍋をそろえるといいと言われますが、そうそう置く場所もとれませんし、自分にとって使いやすい、えりすぐりのものを備えておくのが一番です。

わたしが最もお鍋としてすぐれているのでは…と思うのは、ステンレス製のお鍋です。
マイナーなドイツのELO社がつくっている多層構造の鍋を使っていますが、沸騰後、火を小さくしてもぐつぐつが止まらないし、水がなくなってもこげつかないし、その性能に驚かされることもしばしば。さびにくいし、傷もつきにくいようです。

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そうそう、ステンレスは、さびにくい金属といわれます。
、「もらい錆(さび)」という現象が起こります。
さびにくいはずが、さびた鉄が着いていると、そのさびが移って自らさびてしまうのです。

「もらい錆」って、なんだか、演歌に出てきそうな名前です。ほだされた感じがひしひし漂ってきます。
そもそもステンレスは鉄とニッケルの合金ですから、もともと鉄分をもっているのです。
その出自を、思い出すんじゃないでしょうか。

「そういえば、俺にも鉄が入っていたんだ」と。
強いところで自分が出るのではなく、弱いところで自分が出てくるのが、また演歌です。

「もらい錆」という言葉はどなたがつけた言葉なんでしょう。日本には読み人知らずのすてきな和歌も残っていますが、こういう、つけ人知らずのなかなか詩的な名前のものもありますね。

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すぐれものだけど、もらい錆なんてしちゃうあたりに日本の情緒を感じるので、やっぱりわたしは、これからもステンレスのお鍋を大事に使っていくと思います。

今日は、これでおしまい。


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2013年12月12日

寒くなってくると思い出す話

雪深い村に一軒の家があった。その家の窓の前に男が一人立っていた。
男は、強盗に入ろうと思って、家を物色していたのだった。
男は、窓から家の中の様子をうかがった。
家具もなく、まずしそうに見えた。暖をとる道具もない家族は身を寄せ合っていた。
その光景は、男の眼には幸せそうに映った。
見ているうちに、ふと男のこころに
「この家でなくてもいいんじゃないか。自分が強盗に入るのは、この家でなくてもいいんじゃないか」
という思いが浮かんだ。

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翌朝、その村では雪上で凍死している見知らぬ男の遺体が見つかっ た。

男が思った「自分が強盗に入るのは、この家でなくてもいいんじゃないか」というところを書くのが作家の役目である。
それは作家がすくいとらなければ、だれにも知られることがないのだから。

ということを、魯迅(ろじん)が言っていた、ということをどなたかがラジオで話していたのをずいぶん昔に聞いたのです。
この「魯迅が…」というところもあやふやで、魯迅のことを調べても、ちっともこの話は出てきません。他の作家が話したことだったのかも。

それでも、わたしのこころにはこの話が強く残っていて、12月になり年の瀬が近づき、寒さが増してくると、この話がふっと浮かぶのでした。
今年もまたそういう季節が近づいてきました。

今日は、これでおしまい。
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2013年09月02日

切手が本物かどうやって見分けているのか

01 切手はお金の代わり
切手は、お金を先に払い、お金の代わりに郵便物に貼りつけるもの。
とくれば、お金の代わりをするわけですから、それが本物かどうかというのは大切なことのはずです。

しかしながら、切手には、たくさんの種類があります。定番の切手のほかに、アニメの柄だったり、観光地の景色が描いてあったり、記念切手なんかもあります。こんなに種類があれば、どんな絵柄があるかというのは、把握しきれないでしょう。では、どうやって切手というのは本物か偽物かを見分けているんでしょうか。

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02 切手を統べる者たち
わたしの頭に浮かんだのは「切手じい」の存在でした。
切手のことならなんでも知っているおじいさんです。地域に必ず一人います。ローマ法王を決定するコンクラーベのように、「切手じい候補」に挙げられたおじいさんたちが集まり、だれが一番「切手じい」にふさわしいのか協議し、選ばれるのです。

「切手じい」は、郵便局が開いているときに活躍しますから、もうお仕事を引退したおじいさんが担います。候補の中の一人には、5年に一度の切手コンクラーベを心待ちにしていたのに、かわいい孫を雨の中迎えにいったことで風邪をこじらせあっけなくこの世を去ってしまったおじいさんがありました。

でも、そんな悲しい出来事にも負けず、おじいさんたちは集まり、切手コンクラーベを開催するのです。白熱した協議のすえ、「切手じい」がどうどう選ばれます。決まってしまえば、あとはみんな切手が大好きな者どうしです。楽しいお酒をくみかわして夜は過ぎていきます。
そして、うたげのお開きの際は、切手じいになれなかったおじいさんたちは、万が一「切手じい」にわからない切手が出てきた際には、だれもが知恵を惜しまず出し合う仲間であることを誓って自分たちの家に帰っていくのでした。

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いっぽう、郵便局には「切手じい担当」という影の役職がありました。それは、新人が任命されます。新人ですから、切手のことも郵便のこともまだ分かりません。判別できない切手が出てくると「切手じい」のところへ聞きにいきます。

初めは反発するのですが「切手じい」の深い知識と郵便の仕事に対する愛情に打たれ、だんだんと自分の仕事に対する責任と愛情が生まれていくのです。でも、切手のことが分かれば分かるほど、「切手じい」に会いにいく機会は減っていくのでした。…という妄想をしました。

03 切手の判別の仕方
調べてみますと、切手が貼ってあるかどうかは機械のセンサーを通して判別するのだそうです。切手はセンサーに反応する特殊なインクで印刷されているのです。これはここ十数年の話で、それ以前の切手はセンサーにひっかからないので、別の機関へ回され、判別されるのだといいます。「切手じい」がいるとしたら、このあたりでしょう。

そういえば、昔の切手って、お札みたいに細かい線で描かれていましたね。最近の切手は、のっぺりした感じです。インクを特殊にすることで偽造をふせいでいるので、精巧なものをつくる必要がなくなったのです。だから、デザインや傾向が変わったのだと思います。

「切手じい」はいないかもしれないけど、いつも何気なくつかっている切手も、機械を通すと反応するような特殊なインクが塗られているなんて、わたしたちに見えない世界があるみたいで、ちょっとわくわくしますね。

今日は、これでおしまい。
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